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薬剤部

業務紹介

薬剤師の仕事として、皆様が真っ先に思い浮かべるのは「薬を作る仕事(調剤)」でしょう。しかし、現在では医療の進歩に伴い、病院薬剤師の役割も少しずつ変化していっています。我々薬剤部では、病院で使用される「薬」が、患者さんに安全で効果的に使われるよう、様々な場面で関与しています。新たな情報を取り入れ、日々の業務改善を行いながら、「薬」を通して患者さんにとってより良い医療の提供に取り組んでいます。

調剤業務

医師の処方箋に基づいて患者さんの薬を用意します。内服薬・外用薬においては、はじめに処方箋の内容を確認し、薬の用法用量や飲み合わせ等のチェックを行います。当院では内服薬はコンピューター制御の自動調剤分包機を導入しており、薬包紙に「お名前」、「飲み方」、「服用日」等を印字しています。また、「お名前」や「病棟」、「処方内容」等の情報を印字した薬袋カードを発行し、薬と一緒に払い出すことで、調剤や払い出し時のミス防止や病棟での薬剤確認にも利用できます。当院の患者さんは高齢の方が多く、薬の飲み忘れや飲み間違いを防ぐためにも、薬の一包化調剤を行っており、さらに薬剤部で1回服用分をセットして各病棟に払出しています。注射薬調剤においても、まずは混合時の配合変化や薬物相互作用等、処方内容のチェックを行います。そして処方内容の印字されたラベルと処方箋を照合し、各患者さん、1施行毎に薬袋にセットしてから払出します。
当院では平成23年2月より電子カルテおよびオーダリングシステムが導入されました。このように、調剤環境については業務の効率化や安全性の向上等の観点から、可能な限り機械化を進めています。
また、当院では嚥下障害の患者さんや経管投与の患者さんには「簡易懸濁法」を導入し、以下の手順で行っています。

簡易懸濁法には、以下の器具を使用します[A]

①簡易懸濁用溶解瓶「けんだくん」
②経腸栄養注入用シリンジ(30ml)

簡易懸濁法
[簡易懸濁用の温湯をつくる工程]

コップに2/3のポットのお湯を入れ、1/3の水道水を混ぜます。
(水:ポットの湯=1:2の割合で約55度の温湯ができます)

「けんだくん」へ薬剤を投入し、上記工程で作成した温湯20ml~30mlを注ぎ入れ、付属の蓋をします。
溶解時間約10分で溶解・懸濁状態となります。

注入前に薬剤懸濁液を良く振り混ぜ、30mlシリンジで薬液を吸い取ります

簡易懸濁法

カテーテルに薬液を注入します

簡易懸濁法

簡易懸濁法では、錠剤を粉砕する「粉砕法」と比較して調剤にかかる時間を減らすことができますし、細い経管チューブの閉塞を回避することもできます。さらに、患者さんにも多くのメリットがあります。「粉砕法」と比べて薬のロスが少なく、薬の効果・安定性を保ったまま服薬していただくことができます。他にも、溶かすまで薬の内容の再確認ができるため、投与ミスのリスクの軽減することもできます。
このように、患者さんにより安全に、効果的に服薬していただくための新しい手法を積極的にとりいれています。
また、当院では法人内の老人保健施設2施設の薬も調剤しています。そのため、これらの施設への入所者の持参薬鑑別および代替薬の提案も行っており、高齢者医療について学べる機会が多くあります。

医薬品情報管理(DI)業務

薬に関する情報を収集し、医薬品の適正使用に取り組んでいます。インターネット、厚生労働省や製薬企業からの報告等を利用して最新の医療情報をいち早く収集し、専門委員会を通じて医療スタッフに伝達し、日々の診療に役立てるようにしています。採用薬剤の変更や院内で発生した薬剤関連の諸問題についても、院内メールや報告書を用いて関係部署に知らせています。
また、毎年、採用医薬品情報や簡易懸濁・粉砕投与の適否に関する情報をまとめたリストおよび当院独自に注射薬の混注や投与時の注意点についてまとめた「注射薬ハンドブック」の更新を行っています。このように、医薬品の適正使用のための情報発信を行っています。

医薬品情報管理(DI)業務

薬剤管理指導業務

薬による副作用が出ていないかを調べたり、患者さんへ服薬指導を行ったりと、適切な薬物療法の実施に向けてサポートする仕事です。
まずは入院時に患者さんが他院から持ってこられた薬を調べることから始まります(入院時持参薬鑑別)。当院では、この持参薬鑑別業務に力をいれています。患者さんの持参薬の内容や日数を確認して鑑別書を作成しますが、この時に代替薬や処方整理等の提案を行います。

薬剤管理指導業務

そして、電子カルテ内の持参薬入力画面に薬剤師が入力することで、病棟で持参薬の服薬管理が出来るようになっています。その後、ベッドサイドでの薬の説明、副作用チェック、退院時指導へと続きます。入院中の薬歴や服薬指導の内容を調べることで副作用の発現や飲み合わせのチェックを行うことができ、また、患者さんからの薬に関する不安や疑問点にもお答えすることができます。退院の際にも服薬指導やお薬手帳への記載を行い、退院後の薬物療法に対するフォローを行っています。

医薬品安全管理

医薬品が安全に使用されることを目指し、院内で発生した副作用について情報収集を行い、厚生労働省や関係企業に報告する仕事です。
当院では、院内で発見された医薬品の副作用に関しては「有害事象院内報告書」を作成し、薬剤部のミーティングおよび薬事委員会で報告を行っています。さらに、必要に応じて日本病院薬剤師会への「プレアボイド報告」や厚生労働省への「副作用報告」を行っています。

医薬品安全管理

医薬品安全ではリスクの高い薬剤についても過誤防止の対策に取り組んでいます。例えば、注射のカリウム製剤には、注意喚起のタグを付けて払い出しています。また、個々の患者さんにとっての禁忌薬剤を登録することができ、禁忌薬剤が処方された場合には検出できるようになっています。さらに、調剤過誤をはじめとした医療安全対策については、毎月のミーティングで事例報告を行い、対策をたてています。その一例として、ハイリスク薬については処方履歴のチェックを行い、その中でも抗凝固薬を服用している患者さんはその旨をベッドサイドに表示することで、スタッフが出血リスクの高い患者さんであることを認識出来るようにしています。このように、医薬品の適正使用や安全管理に務めています。

医薬品安全管理
医薬品安全管理

新しい取り組み

①施設間での情報連携について

当薬剤部では、2012年5月より同法人急性期病院薬剤部と入退院患者に関する薬剤情報連携を行っています。診療情報提供書には記載されない、処方の経緯や薬による有害事象、非採用薬物の継続指示等の情報を把握することで、医薬品の適正使用に貢献してきました。
そして、2014年9月からは、佐世保地区薬剤師会を通じて、抗凝固薬について市内急性期4病院を含めた他病院薬剤部との情報連携を始めました。今後も急性期~慢性期という一連の流れにおいて、地域一体となって患者さんに安全に薬を使用していただくために取り組んでいきます。

②適正な薬物療法に向けた取り組み ―PBPM(プロトコルに基づく薬物治療管理:protocol-based pharmacotherapy manegement)、ポリファーマシー対策について―

平成22年4月30日に厚生労働省医政局通知「医療スタッフの協働・連携によるチーム医療の推進について」が発出され、薬剤師が取り組むべき9項目の業務例が挙げられ、それについて日本病院薬剤師会による解釈と具体例が出されました。その中に、「薬剤の種類、投与量、投与方法、投与期間等の変更や検査のオーダについて、医師・薬剤師等により事前に作成・合意されたプロトコルに基づき、専門的知見の活用を通じて、医師等と協働して実施すること」があり、具体例として、調剤時に定期的な検査の実施状況を適宜把握し、検査が未実施の場合については医師と協働して薬剤師が検査オーダを行うように努める、ということが挙げられています。
そこで、当院で採用されているハイリスク薬の中で、特に検査値等のチェックが必要と思われる抗凝固薬、強心配糖体等について検査オーダ依頼を行うとともに、必要時には薬剤師が検査の仮オーダを実施できるようプロトコルの作成を試みています。そして検査結果に応じて経過観察や用量変更・代替薬の提案といったフォローを行っております。
また、近年、高齢の方では、複数の医療機関から多種の薬を処方されるポリファーマシーの問題が大きく取りあげられるようになりました。当薬剤部でも、持参薬鑑別時から処方薬整理のアプローチを行う等、不適切と思われる薬剤の減量・中止に向けた介入を積極的に行っています。

③DST(Dementia care Support Team,認知症ケアサポートチーム)への参画

認知症ケアは近年、全国的に取り組まれている大きな課題です。当法人でも各病院・施設の特性を活かして積極的なアプローチを行っています。当院で多職種協働で取り組んでいるDSTは、院内での認知症ケアに関して中心的な活動を担っており、定期的に実施するDSTラウンドには薬剤部からも参加しています。
認知症ケアに対し、薬物治療の観点から問題点をみつけだし、いま問題となっているポリファーマシーの対策を兼ねた処方整理の提案や、副作用の洗い出し、代替薬の提案など、薬剤師ならではの活動を積極的に行い、実績を積み上げているところです。

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